乳幼児のこころ Flashcards

乳幼児のこころ+子育て+アタッチメント+パーソナリティ

1
Q

アタッチメント

A

アタッチメント (attachment):個体がある危機的な状況に接し(あるいはそれが予期され)、恐れや不安の感情を経験した際に、他の特定個体に近接し、その個体との関係を取り結ぶことによって、再び安全の感覚を回復・維持しようとすることに関わる行動制御システム

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2
Q

安全の環

A

安全の環 (circle of security):養育者と子どもの日常のあるべき関係性
安全な基地 (secure base):養育者が子どもに情緒的な燃料補給を行い、子どもを元気よく外界に送り出す
確実な避難所 (safe haven):子どもが困難な事態に遭遇して弱って戻ってきたときに、養育者がそれを確実に受け容れて慰撫する
⇒自発的な探索行動が可能⇒自律性
⇒他者に対する基本的信頼感・自分に対する自己肯定感の育成

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3
Q

アタッチメントの起源:子ども側

A

赤ちゃんの特質(錯覚を誘発しやすい)
幼児図式:赤ちゃん特有の顔・身体・動きなどの特徴(広いおでこ、大きな目、など)
社会的知覚:人らしいものに対して選択的に注意を向ける(人の声 > ほかの音、人の顔 > ほかの形、など)
社会的同調:周囲の人の動作に調子を合わせる(新生児模倣、共鳴動作、など)
社会的発信:顔や声を通じた感情表出(社会的微笑、感情表出、など)

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4
Q

アタッチメントの起源:養育者側

A

養育者の直感的育児 (intuitive parenting)と応答性 (responsiveness):赤ちゃんの特徴を魅力的だと感じ、赤ちゃんの情緒的なシグナルに敏感でタイミングよく反応する
幼児図式:「ただでさえかわいい」、社会的知覚:「見つめられる」、社会的同調:「応答される」、社会的発信:「感情を寄せられる」
養育者のmind-mindedness:赤ちゃんに対して内的状態(意図・感情・記憶等)を読み取ること

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5
Q

アタッチメントの発達段階

A

①:人物の識別をともなわない定位と発信(出生~生後3ヵ月)→近くにいる人に対して視線を向ける(定位);近くにいる人に対して微笑んだり泣いたりする(発信);シグナル行動が中心
②:1人または数人の特定対象に対する定位と発信(生後3ヵ月~6ヵ月)→人物の識別が可能;養育者に対してアタッチメント行動を向ける;シグナル行動も接近行動も
③:発信および移動による特定対象への近接の維持(生後6ヵ月~2, 3歳)→人物の識別の明確化;より能動的な接近行動;明確なアタッチメント形成期
④:目標修正的な協調性の形成(3歳前後~)→内的作業モデルの形成;アタッチメント欲求があっても、養育者の状態を推測して行動を調整・制御できる;アタッチメント対象が不在でも、情緒的な安定を保つことができる
⇒受動的→能動的、物理的近接→表象的近接、養育者への近接性の実現→養育者の情緒的利用可能性の覚知

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6
Q

ストレンジ・シチュエーション法

A

ストレンジ・シチュエーション法 (strange situation procedure)
対象:生後12ヵ月~18ヵ月の子ども
方法:実験室に子どもを連れてきて、そこで初めての人に遭遇させるとともに、その場から養育者が一時いなくなるという場面を子どもに経験させる
分離場面と再会場面における反応を観察

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7
Q

回避型

A

分離:泣いたり混乱したりしない
再会:目をそらしたり、養育者を避けようとする。養育者が抱っこしようとしても子どもの方から抱きつくことはなく、養育者が抱っこするのをやめてもそれに対して抵抗を示さない
探索活動:養育者と関わりなく行動することが多い(養育者を安全基地としてあまり使用しない)
親の日常的な関わり:子どもの働きかけに拒否的に振る舞うことが多く、子どもと対面しての微笑みや身体接触が少ない。子どもが苦痛を示したりすると、かえってそれをいやがり、子どもを遠ざけてしまう場合もある。また、子どもの行動を強く統制しようとする働きかけが多い。

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8
Q

安定型

A

分離:多少の泣きや混乱を示す
再会:養育者との身体接触を積極的に求め、すぐに落ち着く
探索:養育者を安全基地として、積極的に探索活動を行う
親の日常的な関わり:子どもの欲求や状態の変化などに敏感であり、子どもに対して過剰なあるいは無理な働きかけをすることが少ない。また、子どもとの相互交渉は全般的に調和的かつ円滑で、遊びや身体接触を楽しんでいる様子が多く観察される。

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9
Q

アンビバレント型

A

分離:非常に強い不安や混乱を示す
再会:養育者に身体接触を求めていくが、その一方で怒りながら養育者を激しくたたいたりする(近接と近接への抵抗という相反する行動を行う)
探索:全般的に行動が不安定で、随所に用心深い態度が見られる。養育者を安全基地として、安心して探索行動を行うことがあまりできない(養育者に執拗にくっついていようとすることが多い)
親の日常的な関わり:子どもが出す各種愛着のシグナルに対して敏感ではなく、子どもの行動や感情状態を適切に調整することがあまり得意ではない。子どもとの間で肯定的な相互交渉を持つことは持つが、それは子どもの欲求に応じたものというよりも養育者の気分や都合に合わせたものであることが多い。結果的に、子どもが同じことをしても、それに対する反応が一貫性を欠いたり、応答のタイミングが微妙にずれたりする。

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10
Q

無方向・無秩序型

A

何がしたいのか、どこへ行きたいのかが読み取りづらいタイプである。たとえば、顔をそむけながら養育者に近づこうとしたり、養育者にしがみついたかと思うとすぐに床に倒れこんだりする。また、不自然でぎこちない動きを示したり、タイミングのずれた場違いな行動や表情を見せたりする。さらに、突然すくんでしまったり、うつろな表情を浮かべつつじっと固まって動かなくなってしまったりすることもある。
親の日常的な関わり:Dタイプの子どもの養育者の特質に関する直接的な研究結果は未だに数少ない。しかし、Dタイプの子どもの養育者は、被虐待児であったり、抑うつなどの感情障害を持っている場合が非常に多い。そのため、次のような養育者像が推察される。(多くはトラウマなどの心理的に未解決な問題を抱え)精神的的に不安定なところがあり、突発的に表情や声あるいは言動一般に変調を来し、パニックに陥ることもある。言い換えると、子どもをひどくおびえさせるような行動を示すことが多く、通常一般では考えられないような(虐待行為も含めた)不適切な養育を施すこともある。

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11
Q

アタッチメントと遺伝

A

気質(生まれつきの個性)→“扱いにくい”=シグナルが分かりにくい→養育者の情緒的利用可能性の低下?
行動遺伝学の研究→アタッチメントの個人差に関して、遺伝的要因が小さい
遺伝的要因よりも環境的要因のほうの説明力が高い

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12
Q

アタッチメントがもたらすもの:自他に対する基本的信頼⇒内的作業モデル

A

極度の恐れや不安の状態になるときに、無条件的に、かつ一貫的に、養育者などの特定の誰かから確実に護ってもらうという経験の蓄積を通して、子どもはそうしてくれる他者およびそうしてもらえる自分自身に対して、高度な信頼の感覚を獲得することが可能になる
→他者は自分のことを受け入れる存在
→自分は他者に愛してもらえる存在
内的作業モデル (internal working model):発達早期の主たるアタッチメント対象との関係性の経験を通して固められる自己や他者あるいは対人関係一般についての主観的な見通しや確信、を基盤として構成される様々な対人的シミュレーションを行うための表象モデル
IWMを基礎として、人は種々の出来事を知覚したり、未来を予測したり、自分の行動の計画を立てる
一度形成されたIWMは、無意識的かつ自動的に働くようになり、意識的な修正は困難
→幼少期に形成されたIWMは、モデルによって表象されている内容と現実との間に大きな不一致が起こらない限りは、加齢にともなって安定性を増していく
★IWMが長期にわたる対人関係のパターンやパーソナリティの維持に関わる

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13
Q

アタッチメントがもたらすもの:自律性および自分の能力に対する根源的自信

A

養育者などの特定の誰かから確実に護ってもらうという経験の蓄積を通して、子どもは他者を「安全の基地」として、そこから外界に積極的に出て、自律的に探索活動を起こすことが可能になる
他者から実際に助力を引き出し、ネガティブな情動状態から抜け出ることが叶ったという成功体験の積み重ねは、子どもに、自分には他者を動かすだけの、世界を好転させるだけの力があると感じることができる
→一人でいられる能力
→自己効力感

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14
Q

アタッチメントがもたらすもの:心の理解能力および共感性

A

養育者は、子どもの情動を制御するだけではなく、それに一瞬先立って、その情動に同調し、つい同じような顔の表情や声の調子になるなかで、それを子どもに対して映し出してあげる、また子どもの心身状態に合致したラベリングをしてあげる
身体全体が何かいつもと異なる状態にあることそのものと、自分自身でその状態に意識のうえで気がつくことが異なる→養育者によって、子どもが前者から後者へと至らしめられる
→心の理解
→共感性

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15
Q

アタッチメントがもたらすもの:脳や身体生理的メカニズムへの影響

A

アタッチメントは、恐れや不安などの情動によって崩れた心の状態を立て直すだけではなく、その情動に伴う緊急反応によって崩れた身体の状態を元通りにする働きも担っている
人の基本的な諸活動に深く関与する脳内のHPA系やSAM系の発達に、幼少期に子どもが経験するアタッチメントの安定性が深く関与している可能性がある
ヒトの脳は、生まれたのちに養育者との豊かな相互作用経験が得られることを前提とした設計になっている→通常であれば得られるはずの経験が欠落することは、その後の脳機能の発達に大きな影響を及ぼす

感情理解と感情制御
被虐待児は、他者が示す様々な表情のなかでも(悲しみや苦痛には鈍感である一方で)怒りの表情だけには敏感であったり、またとくに特定の表情が浮かんでいない真顔を悪意ある怒りの表情と誤って知覚してしまったりする
被虐待児は、いつも些細なことでもネガティブな情動が生起しやすいという高覚醒状態に置かれており、ときに衝動的に激しい怒りに駆られ、無謀・無慈悲な攻撃行動に走ることがあり、しかもそうした状態にひとたび陥ると自分自身では制御困難となってしまう

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16
Q

乳幼児期以降のアタッチメント

A

就学前期~児童期の仲間関係
回避型:仲間に対して否定的な感情をもって攻撃的にふるまう仲間から拒否され孤立する
アンビバレント型:他児の注意を過度に引こうとしたり衝動的にふるまう従属的な態度をとる→仲間から無視されたり攻撃されたりする
安定型:仲間に対して積極的に、肯定的な感情をもって働きかける共感的行動を多く示すため、仲間からの人気が高い

青年期~成人期の恋愛関係
回避型:情緒的な関わりを避ける→関係がうまくいかない
アンビバレント型:不安に駆られて過剰にかかわりすぎる→ストレスに満ちた関係
安定型:良好な、満足度の高い、持続的な関係

老年期
回避型の比率が高まる→親密な他者との死別等を接する機会が多くなるなかで社会的接触や活動から徐々に撤退していこうとする可能性?

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17
Q

アッタチメントの世代間伝達

A

世代間伝達 (intergenerational transmission):アタッチメントは一つの世代から次世代へと受け継がれていく
個々のアタッチメントスタイルに関して、研究結果が一致していないが、安定型か不安定型かに関して、世代間伝達の可能性が高い
世代間伝達のモデル:養育者自身の幼少期の経験(→養育者のその後のアタッチメント関連の経験)→養育者自身の内的作業モデル(→社会的文脈)→敏感な応答性(→個人的特性)→子どものアタッチメント
しかし、
①差次感受性 (differential susceptibility) の文脈でいえば、養育行動を個々の子どもがいかに感受するかという影響の受けやすさに広汎な個人差が存在する
②養育者と子どもとの関係はあくまでも複雑なソーシャルネットワークを構成している数多くの関係性の中の一つだけである→年齢が上がるにつれ子どもが対人的ネットワークを拡張し、自身のアタッチメントやIWMの質に関しても、仲間や恋愛相手など、親以外の重要な他者から受ける影響が徐々に強まる

18
Q

乳幼児期の可塑性と対人世界の広がり

A

①アタッチメント・スタイルは変化できる
ただし、その変化可能性=可塑性は、発達の早期であればあるほど高い
なぜかというと、加齢にともない、自分のIWMに合致した対人関係や社会的環境を構築し、それまでとは異質な対人関係や社会的環境を自ら遠ざけてしまう→変化の機会を与えうる、異質な対人関係に遭遇する確立が低くなる→アタッチメント・パーソナリティの連続性が増大する

②子どもは養育者以外の相手とアタッチメントを形成できる(家族内の養育者以外の成員;保育所の保育士、学校の教師など)
家庭外で最初に出会う大人とのアタッチメントの質が、学校のような集団的な状況の中でも子どもの適応性と深く関係する

19
Q

錯覚とmind-mindedness

A

錯覚:実際には必ずしもあるとは言えないものまでもあると考えてしまう
養育者が錯覚を持つことによって、赤ちゃんに対する関わりや、その影響下での赤ちゃんの発達がごく自然に適切な形で進行していく
mind-mindedness:子どもの心をなぜかつい気遣ってしまう傾向、内的状態(意図・感情・記憶など)を読み取る傾向
当初、実体とはややかけ離れた錯覚が、養育者の子どもに対する関わりを適切に方向づけることを通じて、徐々に、子どもの心の実態を生み出す

20
Q

錯覚の発達促進的な働き

A

①子育てへの動機づけの高まり
②子どもの自他に対する基本的信頼感+自己効力感の発達
③子どもが明確な期待や見通しをもって環境と関われるようになる
④子どもが自分の内的状態を気づけるようになる(ミラーリング・ことば)

21
Q

脱錯覚とほどよい子育て

A

脱錯覚:子どもの実体としての心の発達につれて、養育者が自身が思い描いた子どもの心に対する「想像上の対話」から、現に子どもが感じたり思ったり欲したりすることに対する「現実の対話」をするようになる
ほどよい子育て:養育者が独りよがりに子どもにとってよかれと思い実践する子育てではけっしてなく、不満や不快なども含めて子どもから色々な声を聞きながら、あるいは子どもの力を借りながら、共同で軌道修正していくような子育て

22
Q

「真の自己」と「偽りの自己」

A

真の自己:子ども自身の感情や欲求などからなる自己
偽りの自己:養育者の錯覚や願望などからなる自己
偽りの自己の発達:養育者が子どもの潜在的な心の状態に過剰に注意を向けている(欲求の先読み)ので、子どもの方は、特に葛藤や衝突を経験ことなく、養育者からの働きかけを比較的に素直に受け入れてしまう
真の自己の発達:養育者が子どもの潜在的な心の状態に注意を向けつつ、子どもに自らの欲求に従って様々な行動をする中で、自分自身の正負や、様々なな感情を経験する機会を与える→特にネガティブな感情を経験したときには、子どもが強い動機づけを持って、自ら積極的に外界に働きかける

23
Q

情緒的応答性

A

情緒的応答性 (emotional availability):子どもが自発的にシグナルを発し何かを求めてきたときには確実に敏感に応じる一方で、子どもが特に何も求めてこないときには、あえてそこに踏み込まないでいる

24
Q

成人疾病胎児期起源説

A

胎内環境が、出生後の生活環境に適うように胎児の遺伝子の発現をプログラミングし、それが生涯にわたるその個人の健康の維持や病気のかかりやすさなどに長期的に影響を及ぼす

25
Q

想像上の赤ちゃん

A

「想像上の赤ちゃん」の構成:胎動(30週から認識する)を通して、子どもの身体を具体的にイメージし、時には、その心の状態やパーソナリティなどについても様々想像する
これは、出産後の子どもの行動や特徴の解釈をかなり一貫した形で方向づけると同時に、現実の子どもの種々の発達が、多少なりとも、その影響下において実際に進行していく
妊娠期における母親の想像上の赤ちゃんや心理的特質に現れる個人差は、親自身の被養育経験や生育過程における様々な経験、および現在の夫婦関係や経済状態なども含めたストレスやサポートといった社会文脈的要因、さらには妊娠の状態や病気といった身体的健康などによって複雑に規定される

26
Q

産後の母親の心理的問題

A

マタニティブルーズ (postpartum blues):産後およそ2~10日頃に発症する一過性の精神障害
産後うつ (postpartum depression):産後およそ数週間~数ヵ月以内に発症し、大半が半年以内に改善する精神障害
産じょく期精神病 (postpartum psychosis):産後およそ1~4週間の間に発症する精神障害;母親や子どもの安全や幸福が危険にさらされることがある

産後うつと子どもの発達
母親側
ストレスのかかる母子相互作用
養育に対する動機づけの低下→母子の健康にかかわる行動(授乳、寝かしつけ)や対乳児発話(高いピッチ、遅いテンポ、誇調されたイントネーションなどの音響特徴を持つ乳児に向けた発声)の少なさ
子ども側
乳幼児期以降の運動や認知、コミュニケーションの発達の遅れ、学業成績が低い傾向
児童期以降の他者の痛みを自分のことのように感じる情動的共感の能力の低さ、ひきこもりや精神疾患のリスクの高さ

産後の母親と子どもへのケア
カンガルーケア:出産後に母親の胸もとで乳児と皮膚を触れ合わせる→オキシトシン(ストレス反応の抑制)の放出→母体のストレスの低下→養育に対する動機づけ・情動認識の促進

27
Q

赤ちゃんの知覚能力

A

触覚:重さ、温度、形を識別できる;痛みを感じることができる
聴覚:母親の声と他の女性の声、母語と外国語を識別できる、母親の声と母語の方に関心を向ける
嗅覚:母親の匂いを識別できる、微妙なアロマの匂いを識別できる;好み嫌いが大人とほとんど変わらない
味覚:好み嫌いが大人とほとんど変わらない;しかし、発達早期段階においては、身近な大人から与えられたものであれば、よほど変な味のするものでない限り、かなり幅広く色々なものを受け入れる
視覚:胎児期では明暗をとらえられる;出生後視覚が徐々に発達し、3歳くらいで成人と同じレベルに達する;単純な模様よりは適度に複雑な模様を、色なしのものよりは色つきのものを、動きのないものよりは動きのあるものに関心を向ける
無様式知覚:異なる様式で知覚したものを矛盾なく結び合わせる能力 

28
Q

知覚的狭化と社会的知覚

A

知覚的狭化
シナプスの過形成(脳神経の連結部であるシナプスが大量に形成される)
シナプスの刈り込み(シナプスの数が幼児期以降大幅に減少する)
⇒赤ちゃんの知覚能力およびそれを支える脳の仕組みが、赤ちゃんが日々生活する環境世界の特質に、よりぴったりと合致するよう精妙に調整されていく

社会的知覚
赤ちゃんの特質(錯覚を誘発しやすい)
幼児図式:赤ちゃん特有の顔・身体・動きなどの特徴;広いおでこ、大きな目、など
社会的知覚:人らしいものに対して選択的に注意を向ける;人の声 > ほかの音、人の顔 > それを模した絵、など
社会的同調:周囲の人の動作に調子を合わせる;新生児模倣(大人の表情を模倣)、共鳴動作(大人の動きに合わせた動きをする)、相互同期性(大人の会話のパターンにリズミカルの自分の声や動きを合わせる)など
社会的発信:顔や声を通じた感情表出;社会的微笑(親近性の高い対象に対する微笑)、感情表出、など

29
Q

原始反射

A

原始反射 (primitive reflexes):胎児期から新生児期にかけて観察される反射(特定の感覚刺激に対する自動的で即座に生じる定型的な反応)のうち、生後数週間から数ヵ月間で消失するか、随意運動(自らの意思に基づく運動)などに置き換わっていくもの
中枢神経系の発達に伴い、皮質の制御が増加することで、原始反射が消失する

30
Q

運動機能の発達

A

順序性
首がすわる、座る、はう、立つ、歩く、走るの順に発達する
一つの機能が働くようになると、その機能を基盤として、次の機能が出現する
方向性
頭部から足先方向へ、身体の中心から手足の先方向へ、粗大運動(投げる・跳ぶなど)から微細運動(小さなものをつまむ・はさみを上手に使うなど)へ
相互関連性
運動が個別に発達するのではなく、運動を含む知能・言語・社会性などの各領域が相互に関連性しあって発達する

31
Q

身体的発達と心理的発達

A

自己主体性
自分を世界に変化をもたらしうる主体性ある存在と理解すること→自己効力感
予測的行為
次に何が生じるかを予測的に理解して計画的に行為すること
行動の柔軟的調整
日々新たな状況との遭遇の中で、自分の行為をそれにうまく調整し適用していくこと
手段目的的問題解決
目的と手段との関係性を理解し、その時々の目的の達成に適った手段的行為を確実に起こすこと

32
Q

虐待

A

虐待 (abuse):本来、子どもを保護し、その健やかな育ちを支えるために使われるはずの“力”が誤って用いられ、子どもの心身の成長や健康を著しく損なう行為 
子どもの人権を著しく侵害する行為であり、子どもの心身の成長および人格の形成に重大な影響を与え、将来の世代の育成にも深刻な影響を及ぼす
親も含めた家族支援、予防、発見、子どもの自立支援などを含む継続的、総合的なケアが必要
①身体的虐待
子どもへの物理的暴力
乳児揺さぶり症候群 (shaken baby syndrome):生後6ヵ月以下で生じる虐待で、相当な力で激しく、繰り返し乳児を揺さぶったり、頭をどこかに打ちつけるなどして強い衝撃を与える
代理ミュンヒハウゼン症候群 (Münchausen syndrome by proxy):親が子どもの体調について偽った症状を訴えたり、故意に病気にしたり、けがを負わせたりすることによって、不必要な医学的治療や検査を繰り返し受けさせる
②性的虐待
子どもへの性的暴力や性的行為の強要
③ネグレクト
養育の放棄・怠慢
全般的ネグレクト、医療的ネグレクト、教育的ネグレクト、など
乳幼児期に必要な適度の情緒的・身体的な刺激が与えられない→主たる養育者との親密な関わりの欠如による深刻な成長障害や顕著な発達遅滞
④心理的虐待
①②③以外に、極端な心理的外傷を与える言動

33
Q

虐待の原因

A

①親側の要因
妊娠期から出産後までの心理的問題:妊娠そのものへの否定的態度、マタニティーブルーズ、産後うつなど
親自身の育ちや人格形成の問題:親自身の被虐待経験やそれによる低い自己評価、満たされなかった愛情関係を自分の子どもに求める役割逆転など
育児や子どもに対する基本的知識やスキルの欠如、育児に対する強い負担感や不安感など
育児ストレス・育児不安の規定要因
①母親を取り巻く人間関係、特に夫婦関係や夫の育児・家事関与
②母親自身の他者との結びつきや社会的関わりの広さ
③親への準備性:親になる前にどれだけ小さい子どもと接触した経験があるか
④職業の有無

②子ども側の要因
低出生体重児、慢性疾患、双生児など
育てにくい気質や行動特徴(よく泣き、なだめにくい、非常に頑固、過敏など)

③親や家庭が生きる社会・経済的文脈
生活の不安定さ:経済的困難、失業などの就労上の問題、住居の問題
親族やコミュニティなどの周囲からの孤立
夫婦関係・家族関係など身近な人間関係の悪化:DV、家族成員に病人がいるなど
 ⇓
個々の家族が生きる具体的現実に即しながら、それぞれの要因間の絡み合いやそのプロセスを理解していく視点が必要
虐待の危険性を高めるリスク要因をカバーする補償要因や親、子ども、家族、コミュニティの健康的な側面に目を向け、それらを強化していくことが重要

34
Q

虐待によって引き起こされる心理的問題・対人関係の特徴

A

①アタッチメントの問題:不安定な対人関係のとり方全般の問題、愛着の問題など。虐待に伴う愛着の問題は、反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害に大別されている。反応性アタッチメント障害は、親や祖父母などの養育者や保育者に対して、かかわりを求めなかったり、楽しさ・嬉しさなどの感情表出を抑制したり、年齢不相応で不自然な行動という。脱抑制型対人交流障害は、見知らぬ大人に対して、近づいて交流することにためらいがほとんどなかったり、過度に馴れなれしくベタベタしたりする行動をいう。
②情動調節能力のつたなさ:情動認識・表現の困難さ、自分の内的状態についての認識の困難さ、希望や要望を伝えることの困難さなど。
③解離症状:現実感のなさ、意識状態の変容(あたかも自分が自分から遊離して外部の傍観者であるような体験など)、健忘(外相的体験と関係のあることの想起困難)など。
④行動調節能力の歪み:衝動抑制の困難、攻撃性の強さ、時には虐待経験の再現につながる性的・暴力的行動など。
⑤自己概念の歪み:非常に低い自尊感情、恥や罪悪感、連続一貫した自己イメージのなさなど。
⑥脳機能・認知機能の発達の歪み:ストレスに関するホルモン調節機能不全、フラッシュバックなど記憶機能不全、注意力の欠如や多動性の強さなど。

35
Q

虐待の対策

A

環境による抱きかかえ:子どもが生活する環境そのものが心理療法的機能を持ち合わせ、虐待を受けた子どもたちの感情のコントロールや対人関係の修正を行っていく

幼稚園・保育施設でのケアの可能性
子どもにとって
安全な場所、温かい世話を享受できる場所
保育者との信頼関係や豊かな生活経験を通して、心身の健康や発達を支える助けを得ることができる場所
親にとって
子どもと離れる時間をもつことを許してくれる場所、休息やストレスの軽減をもたらしてくれる場所
保育者をはじめとする様々な大人との関わりは、親としての自らのあり方を見つめ直し、子どもとの関わり方を学んでいく機会となる

「回復への道のり」を含め、より長期的、複眼的な視野に立った理解やケアが必要
虐待された子どもへのケアはもちろん、それを行った親側への心理的援助や教育的働きかけも必要
虐待を受けた子どもの心身の健康の回復のみならず、再発防止に向けた保護者への働きかけや家族の再統合など、家族機能の再生の視点に立った支援が重要

36
Q

パーソナリティ

A

パーソナリティ・人格 (personality)
個人内の様々な心理的特性の総体としてあり、組織化され、ある程度の通状況的安定性と相対的に高い時間的連続性を有し、個人の物理的および社会的環境との相互作用やそこにおける適応に深く影響を及ぼしうるもの
パーソナリティの形成過程には、個々人が生来的に有している遺伝要因と環境要因が関与する
遺伝要因は発達初期、通常、気質という形で現出するが、それと出生後の家庭内外で経験するアタッチメントを含む養育や教育などの質、逆境体験も含めた正負様々なライフイベントなどが複雑に絡み合う中で、漸次的に個々人に特有のパーソナリティ傾向が形成されてくる
近年は、パーソナリティ形成の始原として栄養やホルモンなどからなる胎内環境の質にも注目が集まってきている

37
Q

遺伝とパーソナリティ①

A

①気質
気質 (temperament):生まれつきの行動上の個性
Thomas & Chessのニューヨーク縦断研究
気質からみる4つの分類:①扱いやすい子(easy child:新しい場面に慣れやすく機嫌が良い;40%)、②扱いにくい子(difficult child:新しい状況に慣れにくく、不機嫌なことが多い;10%)、③ウオームアップが遅い子(slow to warm up child:活動水準が低く、環境の変化に慣れるのに時間がかかる;15%)、④平均的な子(いずれにも分類されない;35%)
乳幼児の気質は、乳幼児期の間は一定の連続性があるものの、成人期の行動特徴との関連はきわめて弱い→1歳と5歳や、1歳と成人を比較すると、有意な正の相関を示す気質はほとんどない
 ⇓
大事なのは気質と環境の「適合性の良さ (goodness of fit)」→養育者が子どもの個性を見極めて柔軟に関わり応じることが重要
e.g. 扱いやすい子→育てやすい→親が育児に自信を持つようになる
扱いにくい子→どのように関わればよいか困難を感じたり、子どもをうまくコントロールしようとして厳しい態度で接したりする→親が育児に自信が持てなくなる
+どういった子が扱いやすいか、という点も親によって異なる 
気質は個々人が置かれる環境に影響を受け、ある程度変化する
他者といかに関わり、気質の発現を制御していくのかという結果として、「その人らしさ」が現れてくる

38
Q

遺伝とパーソナリティ②

A

②DOHad仮説
DOHad仮説:胎内環境が、出生後の生活環境に適うように胎児の遺伝子の発現をプログラミングし、それが生涯にわたるその個人の健康の維持や病気のかかりやすさなどに長期的に影響を及ぼす
胎内環境は妊婦の心身状態・生活習慣およびその外側の社会文脈的要因に左右される
e.g. 栄養・ホルモンシャワー・テラトゲン→胎児発生・成長過程の非定型化
e.g. 母親のストレス→低出生体重・早産、生後の脳機能・発達上の問題
低出生体重・早産などのハイリスク児は出生後に二次的・三次的にさらならリスクに巻き込まれやすい

39
Q

遺伝とパーソナリティ③

A

③他の遺伝的な要因
双生児研究によると、パーソナリティにおける遺伝の寄与率は30~50%
特に「外向性」や「神経症傾向」は、遺伝による影響が強い
遺伝による身体的特徴が二次的にパーソナリティに影響を与える可能性もある
e.g. 体格や運動能力→優越感・劣等感
いくら遺伝的影響が大きいといっても、素質は環境が整わなければ発揮されない

40
Q

環境とパーソナリティ

A

①家族:親の養育態度や親子関係(アタッチメントスタイルなど)、出生順位やきょうだい構成・きょうだい関係
②情動:ある情動経験の蓄積が、特異的なパーソナリティの形成を方向づける(パーソナリティのオーガナイザーとしての情動)
①情動を経験し発動した本人が、そこで相互作用する他者および事象をあるバイアスをもって知覚・認知し、そして結果的にある特定の行動をとりやすくなる
e.g. 怒りやいらだちを感じている個人は、相対的に他者の怒りや不快といった表出に敏感になる→非社会的・反社会的な行為をとりやすくなる
②関係性の中で一方に、ある情動の表出が見られたときに、それを知覚・認知する側に、ある一定のバイアスがもたらされ、結果的にある特定の心的状態や行動が、その情動の発動主体に対して向けられやすくなる
e.g. 日常、怒ってばかりいる人がいる→その人は周りの多くの人から避けられがちになり、結果的に孤立化し、十全な対人関係を享受できなくなってしまう
③社会・文化

41
Q

ビッグファイブ①

A

ビッグファイブ (big five):人間のパーソナリティ特性は大きく分けて5つに集約するという考え方 (OCEAN)
経験への開放性 (openness to experience):知的な領域において、思考やイメージが豊じょうか否か
誠実性 (conscientiousness):はっきりとした目的や意志をもって物事をやり抜こうとするか否か
外向性 (extraversion):外界に積極的に働きかけるか、そうでないか
調和性 (agreeableness):人の関係において、周りの人に同調しやすいか、あるいは、自主独立の道を進むか神経症傾向 (neuroticism):外部刺激に敏感に反応し、情緒不安定の傾向

42
Q

ビッグファイブ②

A

加齢に伴う変化
経験への開放性:加齢とともに減少
誠実性:加齢とともに増大するが高齢期にはやや減少
外向性:加齢とともに減少
調和性:加齢とともに増大
神経症傾向:加齢とともに減少するが高齢期後半にやや増大
 ⇓
こうした変化パターンにはあまり文化差が認められない
標準的な社会的時計の関与?(結婚、家族形成、キャリアの確立など)
生物学的・進化論的要因の関与?(成長、配偶関係の確立、養育環境の充実・維持)

加齢とともに個人差は変動しにくくなる(集団内の序列的位置が固定化する)
加齢とともに環境の変化の影響は受けにくくなる?

ビッグファイブにおける遺伝の寄与率は30~50%程度、残りの50~70%は非共有環境(家庭環境以外の環境;学校や課外活動、その他の人生経験)で、共有環境(家庭環境)の寄与率はほとんど0