Season 3 Episode 2 Flashcards
(80 cards)
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。AB間に、甲土地の所有権の移転時期に関する特約がない場合には、Bが代金を完済したときに、甲土地の所有権はBに移転する。
誤り。 物権(所有権)の移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生じます。
ただし、当事者間でこれと異なる特約をすることもできます。本肢では、特約がないので、当事者の意思表示(売買契約)のみによって、甲土地の所有権がBに移転しま す(民法 176 条)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは、所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
誤り。 不動産に関する物権(所有権)の取得は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができません。
したがって、Cは、所有権移転登記を備えていなければ、甲土地の所有権をBに主張することができません(177 条)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが死亡し、DがAを相続した場合、Bは、所有権移転登記を備えなければ、甲土地の所有権をDに主張することができない。
誤り。 Aの相続人Dは、Aと同一視することができるので、DとBは当事者の関係となります。
したがって、Bは、登記を備えなくても、Dに甲土地の所有権を主張することができます(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Eが、Bがまだ所有権移転登記を備えていないことに乗じてBに高値で売りつけて不当な利益を得る目的で、Aをそそのかし、Aから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をEに主張することができる。
正しい。 Eは背信的悪意者です。
背信的悪意者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を主張することができます。したがって、Bは、甲土地の所有権をEに主張することができます(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが甲土地をCにも売却した場合、Cが、強迫によりBの登記の申請を妨げて、先に所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができる。
正しい。 Cは背信的悪意者です。
背信的悪意者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を主張することができます。したがって、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができます(民法 177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが甲土地をCにも売却し、さらに、Cが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合、Cがいわゆる背信的悪意者であるときは、D自身が背信的悪意者でなくても、Bは、甲土地の所有権をDに主張することができる。
誤り。 背信的悪意者Cからの譲受人Dは、D自身が背信的悪意者にあたらなければ、 登記を備えることにより、自己の権利を第三者に主張することができます。
したがって、 登記を備えているDは、甲土地の所有権をBに主張することができます。つまり、Bは、 甲土地の所有権をDに主張することはできません(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Eが、正当な権原なく甲土地を不法に占有している場合、Bは、所有権移転登記を備えなくても、Eに対して甲土地の所有権を主張して、その明渡しを請求することができる。
正しい。 甲土地の所有権を取得したBは、不法占拠者Eに対しては、登記を備えなくても、甲土地の所有権を主張して、その明渡しを請求することができます(177 条、判 例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Fが甲土地に産業廃棄物を不法に投棄したため、甲土地が汚染された場合、Bは、甲土地について所有権移転登記を備えなくても、Fに対して損害賠償請求をすることができる。
正しい。 甲土地の所有権を取得したBは、不法行為者Fに対しては、登記を備えなくても、甲土地について生じた損害について、賠償請求をすることができます(177 条、 709 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
AB間で甲土地の売買契約が締結された後、AとCが通謀して甲土地について虚偽の売買契約を締結し、Cが所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができる。
正しい。 AC間の売買契約は、通謀虚偽表示により無効となるため、Cは無権利者です。
そして、無権利者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を対抗することができます。したがって、Bは、先に登記を備えたCに対しても、甲土地の所有権を主張することができます(民法 94 条1項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
AB間で甲土地の売買契約が締結された後、AとCが通謀して甲土地について虚偽の売買契約を締結し、Cが所有権移転登記を備えて、さらにCが善意のDに甲土地を売却 して、Dが所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をDに主張することができない。
正しい。 AC間の売買契約は、通謀虚偽表示により無効となりますが、その無効を善意の第三者Dに対抗することはできません。
その結果、BとDは、甲土地の所有権の取得を争う対抗関係になります。したがって、先に登記を備えたDがBに優先し、Bは、 Dに対して甲土地の所有権を主張することができません(94 条2項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、Bによる詐欺を理由に、AB間の甲土地の売買契約を取り消したが、その後、 Bが、甲土地を善意でかつ過失があるEに売却した場合、Aは、登記を備えなくても、 甲土地の所有権をEに主張することができる。
誤り。 詐欺を理由とする売買契約の取消しによる「BからAへの甲土地の所有権の復帰」と、売買契約による「BからEへの甲土地の所有権の移転」は、BからAおよびE への甲土地の二重譲渡と同視できます。
したがって、Aは、先に登記を備えなければ、 甲土地の所有権をEに主張することができません(96 条1項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、Bの代金の不払いを理由に、AB間の甲土地の売買契約を解除したが、その後、 Bが甲土地をFに売却した場合、Aは、登記を備えなければ、甲土地の所有権をFに主張することができない。
正しい。 売買契約の解除による「BからAへの甲土地の所有権の復帰」と、売買契約による「BからFへの甲土地の所有権の移転」は、BからAおよびFへの甲土地の二重譲渡と同視できます。
したがって、Aは、先に登記を備えなければ、甲土地の所有権を Fに主張することができません(545 条1項、177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
A所有の甲土地を占有しているBが、時効により甲土地の所有権を取得した後に、A C間で甲土地の売買契約が締結された場合、Bは、登記を備えなければ、甲土地の所有権をCに主張することができない。
正しい。 甲土地の所有権を時効取得したBは、「時効完成後」に甲土地を旧所有者Aから取得した「第三者」Cに対しては、先に「登記」を備えなければ、時効による甲土地の所有権の取得を対抗することができません。つまり、Aが、甲土地をBとCに二重譲渡したのと同様に考えるのです(民法 177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
A所有の甲土地を占有しているBが、時効により甲土地の所有権を取得した場合、Bは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、甲土地の所有権を主張することができる。
正しい。 甲土地の所有権を時効取得したBは、「時効完成前」に甲土地を旧所有者Aから取得して登記を備えたCに対しては、登記を備えなくても、時効による所有権の取得 を主張することができます。
つまり、時効取得者Bから見れば、「時効完成前」に旧所有者Aと取引をしたCは、旧所有者Aと同視できるのです(177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
Aが死亡し、BとCが各自2分の1の割合で甲土地を共同相続した場合、Bが、Cに断ることなく甲土地についてBの単独名義の登記をして、甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合、Cは、甲土地に関する自己の2分の1の持分権をDに対抗することができない。
誤り。 Bは、Cが相続した2分の1の割合については無権利者にすぎず、無権利者Bと取引したDも、Cが相続した2分の1の割合については無権利者となります。
したがって、Cは、共同相続の登記を備えなくても、自己の2分の1の持分権を、無権利者であるDに対抗することができます(177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。A所有の甲土地につき、Bが書類を偽造してB名義の登記を備えた場合、この登記を信頼してBから甲土地を購入したCは、原則として、甲土地の所有権を取得することができない。
正しい。 不実の登記(B名義の登記)を信頼して、無権利者Bと取引をしたCは、原則として、甲土地の所有権を取得できません(登記に公信力はありません)。
なお、A が、B名義の不実の登記がなされたことを知りながら、長期間そのまま放置していたような事情があれば(Aの責めに帰すべき事由があれば)、善意のCは、甲土地の所有権を取得することができます(94 条2項、判例)。
抵当権について。
AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合、Aは、CのAに対する金銭債権を担保するため、Aの当該抵当権に、Cのために抵当権を設定することができる。
正しい。 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができます。
つまり、 抵当権自体に抵当権を設定するのです。これを転抵当といいます(民法 376 条1項)。
抵当権について。
AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合、その後、Bが甲土地をCに売却したときは、Aは、当該抵当権をCに対抗することができる。
正しい。 抵当権者は、抵当権設定登記を備えれば、その後、抵当権を第三者(抵当不動産の買主など)に対抗することができます(177 条)。
抵当権について。A所有の甲土地について、AとBが抵当権設定契約を締結し、さらに、AとCが抵当権設定契約を締結した場合、B及びCの抵当権の順位は、抵当権設定契約の前後によって定まる。
誤り。 同一の不動産の上に数個の抵当権が存在する場合、それらの抵当権の順位は、 抵当権設定契約の前後ではなく、抵当権設定「登記」の前後で決定されます(373 条)。
抵当権について。A所有の甲土地について、Bが第1順位の抵当権を、Cが第2順位の抵当権を、Dが第3順位の抵当権を有する場合、B、C及びDは、全員の合意で、抵当権の順位を変更することができるが、この場合、Aの承諾を得る必要はない。
正しい。 抵当権の順位を変更するには、各抵当権者の合意が必要です。
ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければなりません。しかし、債務者および抵当権設定者の承諾は不要です。したがって、Aの承諾は不要です(374 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Cの受ける配当額は 2,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡しても、Cには、一切、影響を与えません。
したがって、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円である場合は、抵当権の順位の譲渡がなかったときと同様に、Cの配当額は 3,000 万円となります(民法 376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dの受ける配当額は 4,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、本来の(抵当権の順位の譲渡がなかった場合の)Bの配当額(2,000 万円)と、本来のDの配当額(1,000 万円)の合計額(3,000 万円)の 範囲内で、DがBに優先して配当を受けることになります。したがって、Dの配当額は 3,000 万円です(376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Bの受ける配当額は 2,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dが 3,000 万円の配当を受けるので、Bは配当を受けることができません(376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を放棄した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dの受ける配当額は 2,000 万円である。
正しい。 BがDの利益のために抵当権の順位を放棄した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、本来のBの配当額(2,000 万円)と、本来のDの配当額(1,000 万円)の合計額(3,000 万円)を、Bの債権額とDの債権額の割合に応じて分配することになります。つまり、3,000 万円を1対2の割合で分配します。したがって、Bの配当額は、3,000 万円×1/3=1,000 万円となり、Dの配当額は、3,000 万 円×2/3=2,000 万円となります(376 条1項)。