Season 3 Episode 3 Flashcards
(80 cards)
債務不履行について。
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
正しい。 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、「その期限の到来した後に履行の請求を受けた時」または「その期限の到来したことを知った時」のいずれか早い時から遅滞の責任を負います。例えば、債務者は、その期限が到来したことを知らない場合には、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(民法 412 条2項)。
債務不履行について。売主Aと買主Bが甲建物の売買契約を締結した後、甲建物の引渡期日が到来する前に、甲建物が地震により全壊したため、甲建物の引渡しが不可能となったときは、Bは、甲建物の売買契約を解除することができる。
正しい。 債務の全部の履行が不能である場合には、債権者は、それが債権者の責めに帰すべき事由によるものでなければ、(債務者の責めに帰することができない事由によるものであっても、)契約を解除することができます。したがって、Bは、甲建物の売買契約を解除することができます(542 条1項1号、543 条)。
債務不履行について。売主Aと買主Bが甲建物の売買契約を締結した後、Aが甲建物の引渡債務について遅
滞の責任を負っている間に甲建物が地震により全壊したため、甲建物の引渡しが不可能となったときは、Bは、Aに対し、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
正しい。 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされます。
したがって、Bは、 Aに対し、履行不能によって生じた損害の賠償を請求することができます(413 条の2 第1項、415 条1項)。
債務不履行について。契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であった場合には、その不能が債務者 の責めに帰することができない事由によるものでなくても、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害賠償請求をすることができない。
誤り。 契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったことは、民法 415 条の規定(債務不履行による損害賠償の規定)によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げません。したがって、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでなければ、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害賠償請求をすることができます(412 条の2第2項、415 条 1項)。
債務不履行について。売主Aと買主Bが甲建物の売買契約を締結した場合、Bは、特別の事情がない限り、
甲建物の登記の移転に係る履行の提供を受けていないことを理由として、代金の支払期日に、Aに対して代金の支払を拒んでも、履行遅滞の責任を負わない。
正しい。 不動産売買における、売主の所有権移転登記に協力する債務と、買主の代金支払債務は、特別の事情がない限り、同時履行の関係に立ちます。
したがって、Bは、 特別の事情がない限り、甲建物の登記の移転に係る履行の提供を受けていないことを理 由として、代金の支払期日に、Aに対して代金の支払を拒んでも、履行遅滞の責任を負いません(民法 533 条、判例)。
債務不履行について。債務の不履行に対する損害賠償の請求においては、債権者は、特別の事情によって生 じた損害については、当事者がその事情を知っていたときに限り、その賠償を請求することができる。
誤り。 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを、その目的とします。
そして、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を「予見すべきであったとき」は、債権者は、その賠償を請求することができます(民法 416 条)。
債務不履行について。債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があっ
たときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
正しい。 債務の不履行またはこれによる損害の発生もしくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任およびその額を定めます(過失相殺)。
なお、当事者が債務の不履行について損害賠償の額を予定した場合にも、この過失相殺の規定は適用されます(418 条、420 条1項、判例)。
債務不履行について。売主Aと買主Bが甲建物の売買契約を締結した場合、代金支払債務の不履行による損
害賠償については、Bは、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
正しい。 金銭の給付を目的とする債務(金銭債務)の不履行による損害賠償については、債務者は、不可抗力(債務者の責めに帰することができない事由によること)をもって抗弁とすることができません(419 条3項)。
契約の解除について。当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてそ
の履行の催告をし、その期間内に履行がない場合、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、相手方は、契約の解除をすることができない。
正しい。 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができます。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約 および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約の解除をすることができません(民法 541 条)。
契約の解除について。当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が、不相当な短い期間を 定めてその履行の催告をしたときは、その後、客観的に相当な期間が経過して、なお履行がないときでも、相手方は、契約の解除をすることができない。
誤り。 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が、不相当な短い期間を定めてその履行の催告をしたときでも、その後、客観的に相当な期間が経過して、 なお履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができます(541 条、判例)。
契約の解除について。建物の売買契約の締結後、当該建物の引渡期日前に、買主の責めに帰すべき事由によ り当該建物が焼失したため、当該建物の引渡が不可能となった場合には、買主は、当該 売買契約の解除をすることができない。
正しい。 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、債務の全部の履行が不能であっても、契約の解除をすることができません(543 条、542 条1項1号)。
契約の解除について。債権者は、債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、 債務者に対する履行の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
正しい。 債権者は、債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合には、履行の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができます。 なお、債務の一部の履行が不能であるときも、直ちに契約の一部の解除をすることがで きます(542 条2項)。
AB間でA所有の甲建物の売買契約を締結した場合における、契約の解除について。
Aが、売買代金の一部を受領し、Bが甲建物の引渡しを受けて入居したが、3ヵ月経過後、Aが、Bの残代金の不払を理由に甲建物の売買契約を解除した場合、Bは、Aに 甲建物を返還しなければならないが、甲建物の3ヵ月分の使用料相当額をAに支払う必要はない。
誤り。 建物の売買契約が解除された場合、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務(原状回復義務)を負います。この場合、買主が建物を返還するときは、その引渡しを受けた時からの使用料相当額も返還する必要があります(民法 545 条1項・3項)。
AB間でA所有の甲建物の売買契約を締結した場合における、契約の解除について。
Aが、売買代金の一部を受領し、Bが甲建物の引渡しを受けて入居した後、Aが、B の残代金の不払を理由に甲建物の売買契約を解除した場合、Bは、自らの債務不履行を理由に契約が解除されたので、甲建物の返還義務を履行した後でなければ、Aに対して、 支払済みの代金の返還を請求することができない。
誤り。 建物の売買契約が解除された場合、売主の代金の返還義務と、買主の建物の返還義務は、同時履行の関係に立ちます。つまり、両当事者の原状回復義務は、同時履行の関係に立ちます。したがって、Bは、自らの債務不履行を理由に契約が解除されたとしても、甲建物の返還義務を先に履行することを強制されません(546 条、545 条1項、533 条、判例)。
AB間でA所有の甲建物の売買契約を締結した場合における、契約の解除について。
Aが甲建物の引渡債務の履行を遅滞し、その債務の不履行がAの責めに帰することができない事由によるものでない場合、Bは、相当の期間を定めてその履行の催告をしたが、Aがその履行をしないため、甲建物の売買契約を解除したときは、Aに対して損害賠償請求をすることができない。
誤り。 債権者は、債務者が債務の履行を遅滞したため、催告による契約の解除をした場合でも、損害が発生すれば、債務者に対してその賠償を請求することができます(545条4項、541 条)。
AB間でA所有の甲建物の売買契約を締結した場合における、契約の解除について。
Bが甲建物をCに売却した後、Aが、Bの残代金の不払を理由に、AB間の甲建物の売買契約を解除した場合、Aは、Cが登記を備えていないときは、Cに対して甲建物の返還を請求することができる。
正しい。 売買契約を解除しても、解除前に目的物を取得した第三者の権利を害することはできません。
ただし、第三者は、登記を備えなければ、保護されません。したがって、Aは、Cが登記を備えていなければ、Cに対して甲建物の返還を請求することができます(545 条1項、判例)。
売主Aと、買主Bが甲建物の売買契約を締結した場合、甲建物の引渡期日が到来する前に、甲建物が地震により全壊したため、甲建物の引渡しが不可能となったときは、Bは、代金の支払いを拒むことができる。
正しい。 当事者双方の責めに帰することができない事由(地震)によって債務者(売主)が債務を履行することができなくなったときは、債権者(買主)は、反対給付の履行(代金の支払い)を拒むことができます。したがって、Bは、代金の支払いを拒むことができます(民法 536 条1項)。
売主Aと、買主Bが甲建物の売買契約を締結した場合、甲建物の引渡期日が到来する前に、甲建物がBの失火により全焼したため、甲建物の引渡しが不可能となったときは、Bは、代金の支払いを拒むことができない。
正しい。 債権者の責めに帰すべき事由(買主の失火)によって債務者(売主)が債務を履行することができなくなったときは、債権者(買主)は、反対給付の履行(代金の 支払い)を拒むことができません。
なお、この場合において、債務者(売主)は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者(買主)に償還しなければなりません(536 条2項)。
注文者Aと、請負人Bが甲建物の増築を目的とする請負契約を締結した場合、Aの失火により甲建物が焼失し、増築が不可能となったときは、Aは、報酬の支払いを拒むことができる。
誤り。 債権者の責めに帰すべき事由(注文者の失火)によって債務者(請負人)が債務を履行することができなくなったときは、債権者(注文者)は、反対給付の履行(報酬の支払い)を拒むことができません。
したがって、Aは、報酬の支払いを拒むことができません。なお、この場合において、債務者(請負人)は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者(注文者)に償還しなければなりません(536 条2項)。
委任者Aと、受任者Bが委任契約を締結し、AがBに対して報酬を支払う旨の特約がある場合、Aの責めに帰すべき事由によって、Bが委任事務の一部の履行をすることができなくなったときは、Bは、報酬全額の支払いをAに対して請求することができる。
正しい。 債権者の責めに帰すべき事由(委任者の責めに帰すべき事由)によって債務者(受任者)が債務の一部の履行をすることができなくなったときは、債権者(委任者) は、反対給付の全部の履行(報酬の全額の支払い)を拒むことができません。
したがって、Bは、報酬全額の支払いをAに対して請求することができます。なお、この場合において、債務者(受任者)は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者(委任者)に償還しなければなりません(536 条2項)。
債務の弁済について。
債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
正しい。 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れます。
なお、弁済の提供をしただけでは、債務は消滅しません。債務を消滅させるためには、弁済や、供託をする必要があります(民法 492 条、473 条、494 条)。
債務の弁済について。弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならないが、債権者があらかじめその受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領を催告すれば足りる。
正しい。 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければなりません(現実の提供)。
ただし、債権者があらかじめその受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領を催告すれば(口頭の提供をすれば)足ります(493 条)。
債務の弁済について。債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加
額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。
誤り。 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とします。
ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とします。したがって、債権者と債務者がそれぞれ半額ずつ負担するのではありません(485 条)。
債務の弁済について。弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求
することができる。
正しい。 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができます。
つまり、弁済と受取証書の交付は、同時履行の関係に立つということです(486 条)。